奈良市西部の昔からの住宅地に建つO様邸。1階南側は日射取得を考えると開口を設けるのに最適ですが、道路に面していることもあり、あえて大きな開口部は設けませんでした。代わりに陽当たりの最もよい一等地は、様々な鉢植えが並ぶテラスになっています。玄昌石（げんしょうせき）と呼ばれる泥岩が層状に堆積した石をタイル状に貼った壁面が、グリーンや花の鮮やかさを一層引き立てくれます。

玄関に入ると、一般的な住宅としてはかなり広め。実は将来、ここを使ってフラワーアレンジメントの教室を開きたいとの計画をお持ちのため、ゆったりとしたスペースになったそうです。また、奥行きのある玄関土間部分がシューズクローゼットに。開放感がありながら、来客の視線からは収納物が緩やかに隠せる工夫となっています。また、南側に縦長に設けられた開口部からの昼光を取り込むことで、玄関スペースを明るく保つことができます。

リビングルームは、O様がご要望された勾配天井が空間に動きを与えます。さらに、長さ7メートルの真っすぐ伸びる造作のテレビボードは、空間にシャープさを加える役割を担っています。「造作家具にオーク材を使ってもらえることもマイ工務店さんを選んだ理由のひとつでした」とO様。

道路に面した南側とは異なり、書斎や寝室のある北側は隣家の庭に面しており視線を気にする必要がないため、大きく開口を設けました。周辺環境を見てのマイ工務店の提案です。窓からは一日を通して安定した柔らかな光を取り込むことができます。

「以前の家では、冬になると室内も寒くなるためグリーンの葉が落ちていたのですが、この家になってからはそれが無くなりました」とO様。高気密高断熱工法の効果は人の快適さだけでなく、植物の生育具合にも表れているようです。天然素材をふんだんに使い理想どおりに完成したとおっしゃるこの家と、それを囲む樹々が10年、20年と年を経るごとにどんな表情になっていくか、私たちマイ工務店も楽しみにしています。