暮らしの環境で、温度とともに気をつけたいことが「空気質の性能」です。空気の質は目に見えづらいということもあり軽視されがちですが、住まいにおける「シックハウス症候群」「ハウスダスト」「スギ花粉」「PM2.5」「一酸化炭素」などはすべて空気の質に関わる言葉です。
空気の質をきれいに保つには、有害なものを発生させない工夫と、計画的な換気ができることの2つが大切になってきます。
外気の影響を抑えるには、屋根、壁、窓の断熱性能を高める「高断熱工法」と、隙間風を抑え換気高効率を高める「高気密工法」、そして「計画換気」をセットで行うことが大切です。なお、「高気密は息苦しい」という意見がありますが、これは誤解です。常に窓を閉め切るわけではなく、必要に応じてぴっちりと閉じられるのが高気密。気候の良い春秋は、窓を思いっきり開放できます。
化学物質の発生やカビが原因となるハウスダストなどを抑制したとしても、空気は汚れていきます。調理や暖房機器から発生する一酸化炭素やスス、衣類や人体から出るホコリ、呼吸によって排出される二酸化炭素や水分などによってです。4人家族が暮らす住宅内で発生する水分は10リットルと言われています。呼吸によるものが4リットル、炊事や入浴、洗濯によるものが6リットルです。
隙間が多く気密性の悪い家は、空気の換気経路の乱れにより室内の汚れた空気が滞留するため、健康被害につながります。
健康で快適な暮らしにとっては、室内の気密性を高めるとともに、室内の汚れた空気の「排出口」と新鮮空気の「取入口」を定め、24時間換気設備で汚れた空気の排出と外の新鮮な空気の取り入れを確実に行う「計画換気」が大切です。