住まいづくりのすすめ方をご紹介する前に、これまで多くの方の住まいづくりに関わったきた視点からの、限られたご予算の有効な使い方についてアドバイスを差し上げたいと思います。
ポイントは「予算をかけるところと、そうでないところのメリハリをつける」こと。特に見た目の部分ではなく、耐震性能や断熱性能など住宅の性能に関わる部分をしっかりと作ることが、その後の数十年の暮らし心地を快適にする秘訣なのです。
建築物は、のちのち変更できるところ(インフィル)と、建て替えない限り変更できない部分(スケルトン)に分けられます。建物が完成した後は隠れてしまうスケルトンの部分が、実は建物の性能を左右する部分なのです。基礎や構造、断熱などのスケルトン部分にしっかりと予算をかけることで、暮らし心地の快適さや安全・耐久性が大きく変わってきます。
逆にインフィルの部分に過剰に予算をかけることをおすすめしていません。その時は最新式の設備もすぐに旧式化してしまいます。また、水まわりの設備は10〜25年で更新をしなければならない消耗品と考えてください。
高機能を売りにした高価な設備より、基本性能のしっかりしたシンプルなものを選ぶことが予算をじょうずに使うコツです。
「せっかく建てるなら大きな家を」が一般的な考え方でしょう。しかし、当然ながら家の大きさに比例して建築費はアップしますし、完成後も容積が大きな分、光熱費もかさみます。また、広くなればついつい物も増えがちです。逆に、コンパクトな家にすることは、基礎や構造にかかる費用を抑え、その分、仕上げや細部にこだわることが可能。「自分サイズ」を一度考えてみませんか?